グラスウールを裸で使う理由

「でしたら、ざっくりやっちゃえば予算は多少下がりますが、腑に落ちない部分がでてきちゃうんです」
なんて正直に言ってしまうものだから、お客さまにも不安を与えてしまうのかもしれない。
たいして気にもとめずに断熱工事を行うとします。
今まで通りの方法でどんどん断熱材を入れていきます。(ここで言う今まで通りとは、気密施工意識があやふやな頃の自分の場合の話)もちろんきちっとやらないと施工する意味もないし、性分だと思いますがとても気になるのでビシっとタッカで表面のフィルムを留めます。
袋入れ断熱を気密施工とかを意識している大工さんが施工すると、下の写真のようになります。見た目とってもきれいで、ばっちり効きそうです。

 従来であればこれで満足。お客さまもきれいに入れてくれてありがとう。となるのですが、気づいちゃったので、いつも留意点としてお客さまに伝えるようになりました。

 

しっかりきれいに入れているのですが、どうしても……

裏側はこうなんです。
 正面はきれいでも、中身は意外とびっしり詰まってないこともあります。ここで言うびっしりとは、455ピッチの間柱の間の105✕430という充填可能なスペースにびっしり断熱材を入れたいということ。

コレは袋入れ断熱の製品のフィルムが引っ張られちゃっているため、隅まで満足に行き渡らない。しょうがないものなのです。気づいてから、気にして施工をお願いしたり、自分でも試してみましたがムリでした。どうしてもきっちりびっしりはいらないスペースが生まれてしまいます。
(ちなみに上の写真は、以前、間仕切り壁の吸音用に施工した写真。たまたま裏側が確認できました。)

 

はっきり言ってここまで気をつけてきちっと「奥まで入れよう」と施工している人は皆無でしょうし、やっても大した差は生まれないのかもしれません。

が、気になるのです。
裸のものだと下の写真のようにビシっと入るのです。何気なくこういう施工をしてくれる大工さんがいるからかもしれませんが、どうみてもこっちのほうが効きそうだもん!って思ってしまうのです。

ここまで気にして打ち合わせ時に伝えている人もおかしな人(自分?)かもしれませんが、ここまで気になっちゃうのでグラスウールの断熱施工であれば袋入れ断熱ではないくて、裸のもの+防湿フィルムをおすすめしている要因の一つなのです。

この2つを比べたときのびっしり感は、「慣れ」とか「技術」でカバーできるものではないと思うのです。

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