食を建築でコントロールする

総じて「断熱義務化を断念しました」という国策であったはずの建築による省エネ対策の「住宅断熱義務化策」先送りと言う名の断念は、記憶に新しいこのごろ。ロードマップなんていう示しに尽力した方々の無駄な努力は一体、、、(と思ってしまいます)
基準クリアはもちろんのこと、普通に家でぽお腹を出して寝ていられる初冬の家にお客様に住んでほしい、という家を標準仕様としているぼくら岩村建匠。

いきなりですがそれはそれで、実は問題もあるのです。

というのも、特に冬、冷ましたい食べ物、例えばお漬物や日本酒、ワインなど。野菜の貯蔵も、温かい家は向きではありません。観賞用の生花などもすぐに枯れちゃいます。以前、お祝いで頂いた洋ランがあっという間にシナシナに、なのに同時に購入した事務所の洋ランはランランと元気だったのには考えさせられました。

とはいえ、この暖かい家は、「快適性」の日々の維持費がエコであるという点でプラスであるのは間違いないのです。住んでみて、家族その他が実感として感じます。

ちょっと話がそれましたが、その主産物(断熱による暖かさという快適を得る)を得ようとしたことによる副産物(暖かさに弱いものを守れなくなってしまう)は、残念ながらあしからずなわけですが、きちんと計画することによってそれをコントロールすることも可能です。

たとえば、お味噌やお漬物。
寒い冬があるから美味しくなると言われている秋田の横手のお漬物。きっと発酵というスペクタクルな世界の中で生まれる計り知れない旨味があるのだと思うのですが、それを一定の暖かさで殺してしまうことを防ぐために、あえて「断熱しません!」と宣言する区画が合っても良いと思うのです。ワインをワインセラーで保管したり、カメラを防湿庫で保管するのとは全然違いますが、日本酒を冷蔵庫できちんと寝かせておく、そういうやつです。

ちょうど休憩前に、
「あ!そこ断熱しちゃいけないとこじゃん!」
「味噌置き場こっからだった」
「はい、撤去!」

自然に逆らわず美味しくなるものはきちんと恩恵をうけ、ひとはせっかくだから断熱というコントロールで快適性をうけ。(きちんと断熱区画ラインは、入り組んでいるので大丈夫)それをきちんと区画することで、人もお味噌もよろこんでくれることを期待して、作業はすすんでいます。

という最近の現場の状況。

「衣食住」という大切な関係性とはいえ、レストランとか商業的な関わり以外に、住宅建築で食に関わるなんてそんなに意識することもな糸思っていました。日々の習慣、今までの日常との違いなど、結局それは人が作っているわけで、その人が住む環境がコントロールしているものなのかもしれないなとつくづく考えさせられます。

・・・ちょっとわかりにくくてすいません。
つまりは略すと、

アーキテクト側の計画でやれることって、結構あるし、それをおろそかにして設備に頼るのってスマートじゃないしエコじゃないよなっていうこと。

自然に美味しいものこそしっくりくる。間違いのない、たいせつな基本。

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