岩手の紫波で開催された、省エネ建築の講座に参加してきました。プロジェクトが動いている現場を体験しながら、本当の意味での断熱性能の必要性を痛感できた、非常に有意義な2日間でした。
講座では、「今後の地球環境の悪化の予測結果を見ると、そんなに生易しいものではない」、「室温の確保は基本的人権」という言葉にはじまり、「本当の意味での省エネルギーな住宅とはなんぞや?」ということを解説していただきました。今年に入り欧州へ目を向ける機会に巡り合い、そのたびにみなさんおっしゃる言葉は、インパクトがあります。そう感じるのは、それだけいかに今の現状がぬるいのかということなのでしょう。
住 宅の燃費を計算できるソフトをつかった講座では、住宅環境を目標へ近づけるシュミレーションを行いました。窓の性能設定をUPすると住宅からの熱損失が減り、熱供給機器の選定がこれほどまでに1次エネルギーを左右するのかという様子が確認できるものでした。1軒の家の何にエネルギーが食われてて、どこを変 えればエネルギーを減らせるかが見えるというものすごく作り込まれたソフトでした。本当にコストパフォーマンスの高い買い物であるべき住宅はイニシャルだけで判断してはいけないということが非常によくわかります。
国とかの施策的に「消費エネルギーの少ない機器を導入して快適な暮らしをすることがエコ」という考えを前面に推し進めている感があることには前から?でした。完全に間違っているとは思いませんが、「今までは我慢してたけど、最近のエアコンはエコだから今までの電気代で室温-2℃でずーっと快適!」のどこらへんでエネルギーが減るんだろうということです。本当の意味での省エネは、単純にエネルギーが必要なければそれでいいのです。「ぺったんこな布団で湯たんぽを抱いて寝るより、羽毛布団でぬくぬくしたら?」ってことが、家にも言えることだからです。
建築基準法という制度がありながらも、断熱などに関してはトレードオフで壁を増やせば天井は薄くていいなど、ものすごく曖昧に感じていました。トレードオ フを実行したことはありませんが、今回の講座で今までモヤモヤしていた「本当のところ」を解説していただき、すっきりしました。もちろん、目標値もはっきりし実際これを実務へ転換するのを加速せねばなりません。でも色々な条件のもとで建てる家なので、そう簡単に進むとは思えません。しばらくは実務へフィードバックしきれないモヤモヤとの戦いになりそうです。