エネルギーはきちんと利用できたらそれでいい。

初めて薪ストーブの着火セレモニーに立ち会いました。

正直このドブレ640すごい。自宅以外では久々の薪ストーブ。このコントロール具合はしびれます。

先日、新築完成の見学会でいつもひいきにしていただいている方がお越しいただき
「やっぱり新築の場合は、暖房は薪ですか?」
と問いかけが。

「あれ?」と思いましたが、個人的に好きで自宅でも活用してはいますが、全くそんなことはありません。自由とおもってました。

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なのでちょっとどういう理由で暖房をおすすめしているのかのその訳を。

まず、個人的な思いをいうと、一時(いっとき)電力会社が深夜電力は安いのですという謳い文句ありきで蓄熱暖房機を全力でPRしておりました。電気でレンガを温めて蓄熱させその予熱を徐々に放熱するというものでした。当時右往左往しつつも何がいいのかも分からないし、経験も未熟でした。なんでそんなに良いのかもわからなかったし、深夜電力が安いっていう仕組みのナゼ?も知らなかったので、お客様からの問い合わせに詰まって、結局一台もすすめたことも、設置したこともありませんでした。推し進める自身がなかったので。

で、衝撃的な3.11の震災のあと、そのPRはパタッとなくなりました。

なるほどって思いました。笑

なので、電力にはなるべく頼りたくないな。なんかあっても電気で温まるって、目に見えづらい暖かさなだけに、なんかあっても自分でなんともできないって思っちゃったのです。

さらにさかのぼって震災の数年前。遮熱はすごいぜ!っていう風潮もありました。NASAで活用されている遮熱材の講習ってやつも行ってみました。そこでも、疑問に思ったので聞いてみました。じゃあその遮熱材で包めば温かいですか?それあれば冬過ごせますか?
当時断熱と遮熱の意味がしっかりわかってなかった僕は聞いちゃいました。理系の悪い癖です。気になっちゃうのです。で、その回答は、

「断熱は別。基準をクリアするには断熱は入れましょう。」

という答えでした。え?NASAの遮熱って断熱以上にすげーんじゃないのか?何だこれ?使えば簡単に万事おさまるわけではないのか?
ことの真意は今ならググればいっぱい出てきますが、当時はi-modeの頃。お金がないと情報が手に入らない頃でしたので、今思えば真っ当な回答だと思います。

で、断熱をきちっと、薄くても採算ど返しできちんと施工してみたことがありました。どーせはなっからお客さんはそこに響かないからって思ってたので、勝手に丁寧にやりました。そしたら、正直びっくりしました。あー効いてるわ。って体感したのを覚えてます。

結局そこそこ断熱が入ってて、きちんとそれがそこにあればなかなか温かいんだろうなと。じゃあ、しっかりしたものをチョイスしてきちんと施工したら益々すごいんだろな。と。

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アウトドアウェアによく例えて話すことがありますが、いいものはすごくいい。薄っぺらいんだけどきちっと考えられて防風されていて首筋とか袖口が冷たくない。ペライチのものでも、その下にダウンを着ていると、「これ南極対応なんです」という。

ほほう

そういうことなんです。結局、きちっと締めるとこ締めて、ふわふわのものを包んでいる薄っぺらなアウターでそれを囲むと体温というエネルギーだけで意外と満足できてしまうんだなってことなんです。反対に、いくら良いふわふわのセーターでもピーピーの風のときは寒いもん。

なので、家もそういうふうにきちんとすればいいって思うのです。隙間なく。

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で、暖房で使うエネルギーは何がいいか?

に対しての思いはというと。
正直、手に入りやすいものが一番良いのかなと思います。今後の地球のことを考えれば絶対、CO2発生が少ないものが良いと考えます。ただ、しっかり断熱されている建物であれば、そもそもそんなに必要エネルギー総量は少なくなります。しっかりその対処をしているのであれば、生活リズム、住まい方、趣味など普段の自分の生活でストレスのないものが一番良いのかなと。

自分事であれば、自宅はエネルギーMIXです。ガスはプロパン高いので断念しましたが、給湯は灯油です。もし停電のときは、キャンプ用に持ってるランタンにも使えるし、暖も取れるから。暖房は薪ストーブです。火遊び大切だし、そもそも火を使えるって、知識とかでもなく知恵として基本なんだと思うから子どもにも体験してほしいし、なにせ、コントロールできるっていうのがいいなと思うのです。世界の情勢にコントロールされる電気や油の市場価格の変動に左右されないエネルギーだなって思うので、うちではそこを選択です。とはいえ、好きだからですけど。

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とどのつまりは、コントロールされない生活を送りたい。ということが一番の思いです。自分で調整できるということは大切だと思うのです。選択肢は色々あっても良くて、その何を選ぶかは色んな理由があると思うけど、しっかり断熱していて少ないエネルギーで過ごせるなら、そこで活用するエネルギーは自由で良いと思います。

もし本当にきちんと温かいを獲得したければ、そこんとこをきちんと担保したいのであれば、どのエネルギーをどうこうの設備ではなく、そもそもその温かいを担保できる器=ジャケットをきちんと着なきゃいけない。

つまるところ、ロスなくすればいいのだなと思うのです
(あー長くなって結局そこ。)

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