素材をみて思う

たしかに今は地元にあるもと言ってもなかなか活用できるものがない場合がる

以前は、あるものを使うしかなかった。

からなのだろうけど、地元にある素材で家は作られていた。木は秋田の県南の木であっただろうし、なんなら近所の林の木だったかもしれない。所変われば素材も変わるのだろう。

文化庁の補助事業に関わっていることから、先日、審議委員の方とお話する機会があった。その日は、現場を視察し、アドバイスを頂く日。現場の説明をして、どう思いますか?と聞くと、方々の経験値から、「やっぱり」や「なるほど」をいただいた。その一人の方が、ぼそっと

「おー、土壁の木舞はワラなんだね」

(上の写真は2021春に出会った横手市内の某倉庫蔵の外壁)

たしかに横手近辺でみる場合は大概がワラか、写真のようにヨシである。一般的な教科書からすると、木舞(土壁の下地のアミアミの部分)は竹で編んだ、竹小舞なのだが、この地域には竹が少ない。その反面、ワラは大量にある。秋になると実る米の茎だから。

それはたくさんあるのだから、ワラで下地を編み、土を掴ませ、塗り壁下地を作る。そして漆喰で仕上げていたのだろう。

わざわざ地域的に上等な?竹を使わず、そこらへんにあるものを使うのがきっと普通である。安いから。(一回だけ、新聞紙木舞も見たことがある。)

ただやっぱり、ここ最近はそれすら見られない。雪の多さゆえに耐久性に問題があることが原因か、はたまた手間暇がかかることゆえに経済性と工期に問題があることが原因か。大概の新築住宅の外壁は、、、、

できれは地元の材料で作れる家のほうが、運賃もかからない分無駄な経費が上乗せされていないそのもののの値段なのだと思う。なにより自分の住んでる地域にお金が流れるからよい。同じ1000円払うなら、知ってる人に払いたい。

ウッドショック然り、どこかの知らない誰かのせいで、自分の買い物が左右されるのはなんだかしっくりこない。

だからせめて外壁の素材は、地元にあるものなので木。せめて雪に強くて代わり映えはしないかもしれないけれど、メンテナンスを考えるとGL鋼板。そしてできれば塗り壁。とおもうのです。

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