省エネ建築診断士を取得しているパッシブハウス・ジャパンの東北エリア勉強会に参加してきました。詳しい内容はマニアックすぎるので、今回は講演を聞いた上での私的な思いをつらつらと。
「パッシブハウス」という言葉が今はもてはやされ、「エコな家」と同意義語のように用いられていることもあるようですが、真のパッシブハウスとはドイツのパッシブハウス研究所の認定する必要エネルギー性能の小さい建物のことをいいます。(ざっくり)
その認定基準は、今の日本の省エネ基準(?)とはかけ離れているほど高い性能が必要で、早々簡単に口にすることができないほどの、どちらかと言うと僕らにすれば孤高の存在のような建物なのです。
自社物件でいうと、たどり着くのはまだまだ。パッシブハウス基準の一次エネルギー使用量の基準値120kwh/m2年に対し、今のところの自社最高物件で135ほど。まあまあこれも自分計算値なのであやしいところですが、近いところまで来ているようなきがすると思いきや、この建物を改造して3種換気のところを熱交換の1種換気にしてみても130を切れるかというところ。更にそこから10を減らすというのは、さらなる高断熱が必要となるので、費用の大幅な追加が求められるの必至なところです。ということで、ここからのレベルアップはちょっと一筋縄ではいかない、簡単にはできない世界への突入なのです。もちろん、暖房負荷は大幅に削減されるので、冷暖房費削減とはなるのですが、メンテ費用がかさむ面もあるので悩ましいところです。
さてさて、むずかしい建物性能を求められるパッシブハウス基準ですが、これが秋田ではなく日射の多い同じ緯度近辺の岩手、宮城へと場所を変えると、また難易度が変わります。太平洋側だと絶対的に冬場の日射量が多いのが理由です。太陽光発電を考えるとNEDOのサイトで確認できるのですが、年間日射取得量はさほど変わらないにしても、一番太陽の温かみのありがたみを感じる冬場に曇りっぱなりの日が多いのはそもそもの地理的条件の不利を感じざるを得ないというのが、この日改めて感じた思いです。
とは言え、この地に合うところ(妥協点というかベターポイント)を探るのがわれわれのやるべきところ。「知らなきゃそれはそれで幸せ」ということも一理あるかもしれませんが、知っているからこそできることをどしどし提案できるようにしていかねばと、リリー・フランキーの「おでんくん」の冒頭の言葉が身にしみる、思い感じる一日でした。
「なんでも知ってるつもりでも、世の中には知らないことが、たーくさん、あるんだよ」
NEDO日射量データベース http://app0.infoc.nedo.go.jp/
おでんくん http://fight-odenkun.com/