過去から今を知る

最近は小修繕や、今までお世話になっているお客様の建物の手直しや更新のリフォームが続いている。普段くつろぐリビングや、毎日家族ではしをつつく台所、一日の気持ちもさっぱりの洗面所や浴室の湯気の香り。このところそういう案件が続いているので、日々恐々でもある。

なかなか出会えない物もあり、ここ数日はマイナスビスを見つけてしまい、自分が第一線に立ち、日々格闘している。

正直このものづくりをした人の気持ちなど、ひしひしと伝わるものでもないが、なかなかの苦労が伝わってくる。マイナスビスは、今のプラスビスからしたらとても難儀なネジ回し作業が、経験した人であれば容易にわかるところ。

これがビスでないこともあった。つまり、ネジを外すこの木工道具の数十の中にはいくつかの年代が想像でき、そのいくつかはプラスネジで補強されていることから、昭和平成の修繕の跡であることも想像できる。が、しかし。

そう、それが木ダボ補強の場合もあり、それが意外と解体しにくいものであったりする。その木ダボも広葉樹のクサビの場合と、多分桐の木かなと思われる植物の導管が見事なものであることもある。そして、それが箸であることもあるのだ。

丸くきちんと加工されていて、とはいえ塗りをされた胴回りからは水分補給はされないであろうが、切断された小口からは水を吸い、膨らみ、表面に見えるそれは、鉄釘が錆びているのだろうか?と、小さな釘抜き(バール)でチャレンジしてしまいそうになるくらいびっちりと木と木を噛み締めているように離れないのだ。

見た目では知らない、解体してみて知る世界がたくさんあるから面白い。

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